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風が吹くとき
風が吹くとき_e0037166_23135710.gifあれは小学生の
夏休みの時だった。

いつも行っていた図書館が
新しくピカピカになって
個別でビデオが
見られるという
視聴覚スペースが出来た。


「アニメもあるんだって」と友達が言うので
喜んで行ったがアニメと言ってもそんなに種類が
あるわけでなく、人気のものは中々見れず

結局私は
「アニメだし…これでいいか」と

『風が吹くとき』

という一本のビデオを見た。

それは表紙がちょっと暗いものの、スノーマンの作者が
描いたという、やわらかいタッチの
スノーマンと同じ可愛いまあるい顔した
夫婦のお話。


のどかな暮らしをしている夫婦。
夫は新聞を読み、奥さんはごはんの支度。
当たり前の風景。

ラジオは伝える

戦争がはじまったこと。

その戦争には
新型爆弾が使われるかもしれないこと。

戦場はそこから少し離れてるらしいのと
政府の準備したマニュアルが
お粗末だったせいもあって

二人の戦争に対する準備は
なんだかのんびりとしたものだった。

「もう!ドアを外しちゃって、どうするの?」
「ドアを壁に立てかけて、白いペンキを塗ると
シェルターになるって書いてあるんだよー。」
「ちゃんと後で直しといて下さいね!プンプン!」

とかそういったムードだった。



そして



風が吹いた。



何もかもを吹き飛ばす熱い風だった。



二人はそのお粗末なシェルターで難を逃れ
夫は「ほら、だから僕の言ったとおりだろう」
とかそんなのんきな自慢のひとつでも
言ったかもしれない。


しかし、そのあと
ゆっくりと
次第に


その可愛い夫婦の顔は黒くなって落ちくぼんでいった。

斑点が出来て

歯茎からは血が出て

髪の毛は抜け落ちていった。


あの可愛くて
どこにでもいそうな夫婦が
ひどい死に方をした。

たった一つの核兵器で。


その事が私はただひたすらショックであった。

ピカピカの視聴覚室には
もう行かなかった。

最近思い出したトラウマアニメのはなしでした。
by yasjiji | 2008-08-06 00:12
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